総長様は溺愛も暴走する




「悠くん?」




私がそう声を掛けると、悠くんはうつむいていた顔をゆっくりと上げる。

ほんの少ししか見えなかった表情は、今にも泣きそうな気配をまとっていた。

私は彼を心配させないように、と微笑む。



だけど悠くんは何も口にせずに、またうつむいてしまう。


私は彼の傷も手当しながら、もう一度謝った。





「ごめんね、悠くん。暴走族のことに口出ししちゃいけないって分かってたのに…」

「ううん、いいよ。初歌ちゃんが来てくれて…その、」




悠くんが小さく口を動かすけど、うまく聞き取れずに私は「え?」と聞き返してしまった。




「ううん。やっぱ、なんでもない…」