お姉ちゃんが急に恋愛の話を始める。
昔も、お姉ちゃんは「初歌は本当に可愛いから、良い?彼氏なんてできたらすぐに私に報告しなさいよ?」とよく言っていた。
私はそれに、できるわけないのになぁと思っていた。
それなのに、どうしてだろう。
ふっと、つい最近であったばかりの、荒々しいけど本当は優しいあの人の姿が脳裏に浮かんだ。
黙っている私に、お姉ちゃんがちょっと低い声を出した。
『…え、図星…?』
「ち、違うよ!彼氏はまだいないから!」
『まだ…?好きな人がいるってこと⁉』
電話口でお姉ちゃんが叫ぶ。その後ろで、『何⁉本当か⁉』『どんな子なの⁉教えなさい!』というお父さんとお母さんの声も。
「ちょ、ちょっと待って、お姉ちゃんたち…!いないよ!好きな人はいないから!」
私もこっちで、必死に弁明する。
なんで、まだなんて言ったんだろう…!



