過去夢の少女

☆☆☆

保健室にでも寄っていたのだろうか、飯田と共に教室へ戻ってきた河村結夏はほんのりと頬を赤く染めていた。

教室へ入ったきたあとも飯田は河村結夏のことを気にかけていて、クラスメートたちかも

奇妙なものを見るかのような視線を送られていた。
だけど飯田はそんな視線なんて気にするタイプじゃない。

クラス内で自分がコソコソと噂話を立てられていたとしても、ひと睨みすれば相手は黙ってしまうだろう。

飯田はそのことをよく理解しているから、いちいち反応しない。
「あれはちょっと、予想外だったね」

恵と共にトイレに入った私は冷たい水で顔を洗った。
恵は隣でため息を吐き出して呟いている。

「信じられない。あの状況で相手を助けるとか、ある？」
鏡の中には怒りで顔を赤くした自分が写っている。

冷たい水で顔を洗っても少しもスッキリとした気分にはならなかった。