過去夢の少女

恵に言われなければ体育館倉庫の窓を通り過ぎてしまうところだった。
少し高い位置にある窓だけれど、背伸びをすれば中を確認することができる。

倉庫内は暗くて埃っぽくてだけど、ふたりが中にいる様子は確認できた。
飯田が河村結夏の近くに座り込んでいることはわかる。

そしてすすり泣きの声も聞こえてきている。
もしかして、もうなにもかも終わった後だろうか?

一瞬そう思ったが、あまりにも早すぎる。

河村結夏はなにかされれば抵抗するだろうし、この泣き声はただ閉じ込められた恐怖から出ているのだろうということがわかった。

早く。
早くそいつをボロボロにして。

もう二度と学校に来られないほどに、人生を終わらせてしまいたいと願うほどに傷つけて。
逸る気持ちを押さえきれずにいたとき、信じられない言葉が聞こえてきた。

「大丈夫か?」
飯田が心配そうな声でそう言ったのだ。
「うん……」