過去夢の少女

「わかんない。でもすごくいいレストランに入っていったって聞いたから、相手はかなりお金持ちだよ」
「だったらパパ活じゃない!?」

恵の誘導ですぐにそう言いだす子が現れた。
人の噂の信憑性なんてどうでもよくて、ただそれが面白いかどうかだけで判断している。

「その可能性はあるよね」
恵がすごく真剣な顔つきで頷くものだから、パパ活という線が一番濃厚だと判断された。

「人って見かけに寄らないよね」
「でもさ、そういうことをしてるから、教室では大人しくしとこーみたいに考えたんじゃない?」

「だったら本物じゃん! 噂とかじゃなくて本気でパパ活やってて、バレないようにしてるってことでしょ」

「そう言えば、目撃したときに河村さんは化粧してて、すごく派手になってたらしいよ? もしかしたら変装してたのがバレたんじゃないかな?」

いいタイミングで周囲が盛り上がるようなネタを入れ込んでいく恵。
その手腕は目をむくほどだった。

キャアキャアと大騒ぎになったタイミングで河村結夏が教室に入ってきた。

机にラクガキされたり靴をかくされたりしたためか、その背中は丸まり、誰とも視線を合わせないように自分の席へと急いでいる。