過去夢の少女

☆☆☆

ボクシングをしている飯田の力はハンパじゃない。
下手をすれば人を殺してしまうほどの威力がある。

そんな力で殴られた河村結夏は床に倒れ込んでしばらく起き上がらなかった。
もしかしたら脳震盪でも起こしていたのかもしれない。

だけど、誰も倒れた河村結夏に駆け寄ろうとはしなかった。
河村結夏が突然飯田を罵倒しはじめたのは全員が見ていたし、擁護のしようもない。

その後すぐに意識を戻した河村結夏は、ふらふらと立ち上がって教室を出ていった。
きっと保健室へ行くつもりなんだろう。

ひとりで。
私は教室を出る寸前に河村結夏に近づいて小声でこう言った。
「階段から落ちたって言えよ?」

河村結夏は返事をしなかったけれど、きっと言うとおりにしたはずだ。
もう、あいつは私に逆らうことはできないから。