過去夢の少女

恵はそう言うと素直に頭を下げたのだ。
腰をしっかりと曲げて謝罪を示している。
私は愕然としてそれを見つめた。

どうして?
なんで謝ってるの?
私達はなにも悪いことなんてしていないはずだ。

河村結夏に当然の罰を与えているだけなのに!
「堀内さんはどう? なにか言うことがない?」
先生の視線が私へ向かう。

いつも行動をともにしている恵が謝罪したことで、次は私が白状する番になってしまっている。
「あ、私は……」

なにも知りません。
恵がひとりでやりました。

そう言って逃げ出そうかと思ったが、できなかった。
体が硬直してしまったかのように動かない。