まあ、その話はいいや。
私の紅野くんへの想いは3年、少しずつ少しずつ積もっているわけだけど。
別に、どうにかなりたいだとか、そういうことは思っていない。
私なんて、地味でスタイルもよくないし、明るくもないしぼっちだし。どこにでもいる普通……いや、下手したら平均以下の女の子だ。
だから、付き合いたいなんて考えるのはおこがましい。叶いもしない無謀な望みだ。
だったら最初から、希望は持たないほうがいい。
"近づきたい"というのは、物理的な距離の話じゃなくて。紅野くんに恋をする者として、ちゃんとしたいっていうこと。
恥ずかしくないように、って。
紅野くんの姿をちらりと見てから、教室を出る。
ロッカーに、今日使う教科書を取りに来たんだ。
1限は数A、2限は英語……だっけか。
と考えながらロッカーの中を漁る。
……だけど。



