鍵峰風渚、高校1年生。クラスは5組。
私はクラスメイトの紅野くんに……不釣り合いで、手を伸ばしたって届きもしない恋をしている。
遡ること3年前。中学1年生の秋に、紅野くんは私の通っていた学校へ転校してきた。
そのころから太陽みたいに明るくて、コミュ力も高く誰とでもすぐに仲良くなって……。勝手に、憧れを抱くようになってしまった。
私は、紅野くんと正反対だ。コミュ力なんてゼロだし、友達すら1人もいない。
少しでも紅野くんに近づけますようにって見た目にはそれなりに気を使っているけれど、他のマイナス要素が大きすぎて全然ダメ。
やっと終わらせた課題を机の中にしまい、鎖骨辺りまで伸びた髪の先を触る。
この髪も、紅野くんがセミロングが好きだっていう話をちらっと聞いたから、胸のあたりまで伸ばしていたのを数か月前、今年の5月に切った。
……そういえば、"あの人"には「なんで短くしたんだよ」とか言われたっけ。



