「アレックス王太子様、お久しぶりです。」
私達に声を掛けたのは、イザベルとその父親だった。
イザベルの父親であるジョセフ・バンタインは伯爵であるが、商いの才があり莫大な財産を保有していると言われている。
そのため王族の中にもジョセフに頭が上がらない者もいるほどだ。
「ジョセフ・バンタイン伯爵、イザベル嬢、お久しぶりです。夜会はお楽しみでしょうか。」
アレックス様が返事をすると、二人はジュリアを冷たい目で睨んで言葉を続けた。
「アレックス王太子、うちの娘であるイザベルは幼少のころより王太子様に憧れて慕っておりました。どうか婚約は解消してイザベルと妻にしてはいかがでしょうか。」
父親の言葉を聞いてイザベルは頬を赤くして、アレックス様を見つめた。
「何を言っているのだ。私はこのジュリアを妻に迎えると決めている。変な事を言わないでもらいたい。」
その時だった、背後から誰かが走り近づいて来る気配を感じた。
…これはブラックス皇太弟に違いないわ…
ジュリアはアレックス様の後ろに飛び込んで走って来る者からアレックス様を守るように盾になった。
すると、ドスッという鈍い音とともに、私の背中が燃えるように熱くなったのだ。
私は間もなくして立っていることが出来ずに崩れ落ちるように座り込んだ。
「キャー大変。!!」
「キャーどうしましょう。!!」
周りの者たちが、私を見て大きな声をあげた。
どうやら私の背中には走って来た者が刺したナイフが残っていた様だ。
「ジュリア嬢!ジュリアしっかりしろ!」
アレックス様の大きな声が響き渡った。
私は蹲りながら、ナイフを刺した者の方を見た。
すると、そこに居たのは、思っていた通りではあるがブラックス皇太弟が、顔色を無くして立ち尽くしていた。



