その時だった。
両腕を掴まれていた護衛騎士のルイが、隙を見てその男に頭突きをして突き飛ばした。
そして腰に付けていた自分の剣を抜いた。
しかし、ジュリアを掴んでいた男が首に突き付けたナイフに力を入れたのだ。
首に強く当たるナイフの感触に私は目を強く閉じた。
…これで転生先の人生も終わりなんだ…
次の瞬間、ウワァーという男の声がして私は掴まれていた手を離され前に突き飛ばされた。
そして前に倒れそうになった私をアレックス様が受け止めてくれたのだった。
そして後ろを振り返ると、腕を切りつけられた男が蹲っていた。
どうやら護衛騎士のルイが男の腕を切りつけて私を助けてくれたようだ。
アレックス様は受け止めた私を抱きしめいて力を入れた。
「ジュリア嬢、怪我は大丈夫ですか…少し首から血が出ているではないか。」
強くナイフを押し当てられたので首は少し切れてしまったが、傷は浅い切り傷のようだ。
アレックス様は自分のネクタイのようなスカーフで私の傷を押さえると、肩には自分の上着を掛けてくれた。
私達を押さえつけていた男たちはルイによって動けない状態にされて、紐のようなもので縛られた。
するとブラックス様は悔しそうな表情で下唇を噛んだ。
「ちっ、使えない奴ばかりだ。…覚えていろよ、今回は失敗したが俺は諦めない。この国は俺がもらうからな!」
ブラックス様はそれだけを言うと、その場から静かに去って行った。



