「イザベル嬢、そなたの願いを叶えてやるぞ。お父上より娘であるそなたの願いを叶えたら、私の後ろ盾になってこの国を私の物にする約束をしたのだ。だから兄であるアレックスと婚約させてやる。」
アレックス様はブラックス様に掴みかかった。
「なんだと!ブラックスお前という奴は…何を考えているのだ。」
ブラックス様は掴まれた手を振り払って口角を上げた。
「お兄様、大切なジュリア嬢と護衛騎士を助けたければ、この場でこのイザベル嬢と婚約して妻に迎えると言え!さもないと二人の命は助からないぞ!」
ブラックスの言葉を聞いてイザベル嬢はニコニコと笑いながらアレックス様に近付き腕を掴んだ。
「アレックス王太子様、貴方をお慕いしておりました。どうぞ私を妻にしてください。」
アレックス様は何も言わず無言でブラックス様を睨んでいた。
握りしめた拳がフルフルと小刻みに震えさせて怒りを抑えているようだ。
「ほら、お兄様、はやく返事をされないとジュリア嬢の美しい体に傷がつきますよ。」
「お前という奴は…なんと卑怯なまねをするのだ。」
ジュリアは冷たいナイフを首に押し当てられていたが、なぜか頭は冷静だった。
…読んだストーリーでも私は死ぬ運命だったし、いくら状況を変えたとしても死ぬことには変わらないのかもね…これは運命を受け入れるしかないのかも知れない。



