双子の「無能な方」だから生贄にされたはずが、竜族の花嫁として迎えられました

 痛いほどの強さで抱きしめながら、イーヴはシェイラの耳元に震える吐息を落とした。

「……ごめん、最初から説明しておけばよかったな。隠すつもりはなかったんだけど。確かに俺は、ソフィのことを今も忘れられない。でもそれは、シェイラが思うようなことではないんだ」

「どういう、こと?」

 ぽつりとつぶやくと、イーヴが少し腕を緩めてシェイラの顔をのぞき込む。頬に残る涙の痕を指先で拭うと、どこか泣き出しそうな儚い笑みを浮かべた。