いつ。
告白したら、OKをもらえるだろうか。
…そうだ、いつなら、秋葉と付き合ってた時の意図を聞いても、いいだろうか。
秋葉に告白して恋人になった翌日、秋葉は倉くんのことを盛大に振った。
でもそこまでではなかったらしく、彼はあっさりと別れ話を承諾したらしい。
みんなの前だったのに、恥ずかしがることも、悲しむことも、引き止めることもしなかったらしい。
そこまでだったのなら…どうして脅してまで、付き合おうとしたんだろう…?
もっと知りたい。倉くんのこと。
「あのっ…」
ーガサガサッ
「え、っ?」
茂みから、音…?
そして、パタパタと足音も。
だ、れ…?
私がそっちを見た時には、もう誰もいなかった。
「誰…?」
「…? どした?」
「いやっ、何でも。さっき、人がいたような気がして…」
「気のせいじゃない? てか、何?」
「へっ、な、何がっ⁉︎」
「さっきなんか言いかけたじゃん」
「あっ…あれは」
倉くんに、聞きたくて…倉くんのこと。
でも…どこまで踏み込んでいいか、迷った。
とっ、とりあえず無難なこと聞こうかなっ、最初だし。
「そっ、倉くんは…ひとりっ子、なのっ?」
「ん? あー、そう。1人」
「わ、私と一緒だ…!」
私も上も下もいないから、いつも少し寂しかった。
いつも誤魔化していたけど…やっぱり兄弟がいないっていうのは、寂しい。
「私は…ちょっと寂しいな」
「…」
「だって…年が近くて、簡単に頼れる人がいないんだよ?」
お兄ちゃんかお姉ちゃんに、何かあったら頼って、ちょっとからかわれて…。
妹か弟に、何かあったら頼われて、可愛がって、お世話して…そんなよくいる“兄弟”関係に、憧れていた。
よく、女子が「弟できてほしくない」っていうのと同じように、異性の兄弟ができたくないって人がいるけど、私は性別関係なく兄弟は欲しいと思う。
「…そうだな」
「倉くんは…寂しいって思ったりする時、ある?」
「…ある」
ある、んだ。
「そういう時は…誰に相談する?」
「…」
「私はね…いつも、秋葉に相談してた」
返事はもらえなくてもいいから、私のことは知っていてもらいたかった。
「秋葉は、自分のことみたいに、親身になって寄り添ってくれて…本当に、秋葉は私のお姉ちゃんみたいなんだ」
秋葉がなくなったら…秋葉を失ったら、きっとその時に私は私じゃなくなってしまう。
血の繋がりなんて関係ないくらい、私のことを自分事の様に考えてくれて、友達としても姉の様にしても私を引っ張って、リードしてくれたから…秋葉には、いつも感謝の気持ちでいっぱいだ。



