「何だよ、朱羽」
秋葉の苗字は朱羽なのだ。
「何じゃない。実紀はサボりたくないんだから、連れてかないで」
こそこそと揉めているふたり。
「秋葉…？」
「ねえ実紀！ サボりたくないよね⁉︎」
「あっ…」
確かに…サボりたくは、ない。
でも、リラックスできたのは本当だ。
なんて、言えば…。
「じゃあ朱羽も来りゃいいじゃん」
「えっ⁉︎」
秋葉が珍しく素っ頓狂な声を出した。
「は⁉︎ 何言ってんの⁉︎ 私、サボるの大っっっ嫌い‼︎ サボる人も嫌い！ あ、実紀は別だけど！ 私は真面目に授業受けたいの‼︎」
秋葉がそう言って、倉くんを睨みつけた。
「そー？ 何とな〜くだけど、俺から見ると朱羽も肩に力が入りすぎてる感じがするな〜。リラックスしてない」
「は？ 勝手に分析しないで不真面目」
なぜだかばちばちと火花が飛んでいるようなっ…⁉︎ 何となく暑いようなっ…⁉︎
というか…倉くん、秋葉のことも気にかけてるんだ…それに、秋葉も誘うんだ、屋上に…。
…なんだ。
私だけじゃ、なかったんだ。
…っ、何でだろうか…そう考えただけで、何だか秋葉に嫌な気持ちが渦巻いてくる。
嫌な気持ち、って…何？
きっと、感情なんだろう。
流石に…私でも、察しがつく。
でも…何だかモヤっとするのは、なんで…？
倉くんに？ それとも…。
秋葉、に？
わ、私…最低、だ…！
