「ただ」
…え?
「なんかあったら絶対俺呼べよ。連れ出してやるから」
倉くんはそう言って、立ち上がる。
「よっし、行くかー」
「……」
感情を失っても、たまに秋葉から聞く。
『…“愛”はね…自分よりも相手のことを大切に思うことだよ。きっと』
“愛”って、なんなんだろうか。
大切…か…何となく、わかる…。
相手が、怪我をしたりとかしたら…涙腺が崩壊するやつ、じゃなかったっけ?
…どうしよう。
今、すごく…倉くんの愛が欲しくなった。
…って…な、何っ…ううっ…。
何だか…すごい…倉くんといると、何か、奥の奥にある扉が、ぎしぎしと音を立てるように、開きかける。
何だ…ろう…?
ただ…あと少しで、抑えられた感情が、蓋をこじ開けてまでしても溢れ出ることが、何となくわかった。
** **
感情を失ってから、ちょうど二週間。14日目。
お祝いは…絶対しない!
あれから…倉くん、結局来てないから…私、屋上行けないよ…。
サボるのは…何だか胸がズキズキするけど…でも、屋上で気分転換できて…何となく、ほっとした。
ガラリと、教室の扉を開く。
「来たよ、最低女」
「人じゃないレベルだよね」
最近、私についたクラス内のあだ名は「最低女」だった。
秋葉はそんなこと言わないし、全然どうもしない。
ただ…他のクラスの人にもそう呼ばれてる…のは気になる…。
でもっ、秋葉がいるから…うん!



