どんな君でも、溺愛します。






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もくもくと視界が曇っている。


き、り?


意識がはっきりした。ここは…夢。天使に会える、もう私の人生に絶対いる夢。



「て、天使⁉︎ 何この霧っ」

「はあ⁉︎ 今来ちゃったのおかしくない実紀! 昼夜逆転中⁉︎ よくないよ健康に!」


天使の焦った声と共に、霧が薄まっていく。


「よ、よかった…」


口に出して、ハッと口を押さえる。


ど、どうして⁉︎ 今はまだ、感情がないはずなのに! また消される⁉︎


「あ、気にしなくていーよ。なんか戻すのめんどくさくなっちゃって、夢みたらすぐ感情戻す魔法かけておいたからっ。えへん!」



「いや、先に言って!」


びっくりするじゃんっ!



「と言うか、昼夜逆転くん。何故今ここに?」



「昼夜逆転くんじゃないです! えーっと」


確か…あっ。



一つの可能性に思い当たる。

「多分、私倒れた」



「え〜? ちょっと確認しまーす」



iPadをいじり始めた天使は、ニコニコ笑顔で言った。


「あ、本当だ〜実紀倒れてる〜お疲れ、実紀。君のことは絶対に忘れないよ、約束すーハアアアア⁉︎」


「勝手に死んだっていうストーリーつくんないで、私死んでない!」



「実紀⁉︎ 何この子!」


「あ、桜井くん…だよ」


「は⁉︎ イケメンすぎんでしょ、(うらや)ま!」


そ、そっち? バレた方ではなく?



「って、は⁉︎ 何勝手にバレてくれてんのアホぉ⁉︎」


「怖っ。普通に天使じゃなくて悪魔じゃん」

「最低。ちゃんと実紀専属! 天使なのに」



専属天使? 何それっ。


「って、どうする?」


「ん? かーなりめんどくさいけど何とかなるよ。天使の力を舐めないでよ⁉︎ 舐めてたでしょ今!」



「い、いやぁ…」


舐めてましたなんて言えません…サイコパス天使!


言ったら命がないからね…。



「とりま、記憶消しときゃあ良いんだよ。だいぶめんどくさいけど、美紀が起きる頃には記憶消したショックで彼も倒れてるかもっ。はっ。ふたりして屋上に倒れ込む⁉︎ ロマンチック!」


「いちいちうるさい!」


「と言うか…桜井くんって…美紀の、好きな…」



…っ。



「…………………………」



「わあっ…とうとう付き合い始める感じ⁉︎ きゃあ〜〜〜‼︎」



「ちょっ…うるさ。てか付き合えれないって一番天使がわかってんでしょ?」