…ぁ…。 桜井くんが屋上の手すりにもたれかかって、私の方を見てくる。 「…っ」 耳元で、どくどくと鼓動が鳴る。 私を見てくる桜井くんを見てるだけで、何だか吸い込まれそうな感じがしてしまった。 「お前、何だっけ?」 「え、何の、話…⁉︎」 「名前」 名前…。 「赤城(あかし)…実紀」 「ふうん、実紀、か」 そ、そう、ですけどっ…。 「実紀」 どくっと心臓が、波打つ。 な、なんか…何でだろう…夢、みたい。 「お前…」 「….っ」