どんな君でも、溺愛します。




「誰があんなブスを気になるんだろうね」



…不細工の略、だっけ。



意味は…忘れた…。



ーガタンっ



「え?」



右側から聞こえた大きな音に、びくっと肩を跳ね上がらせた。



もちろん、話していた女の子たちも一瞬で固まる。



さ、桜井…くん⁉︎



「勝手に喋ってんじゃないぞ、ブスども」




えっ…?



桜井くんは、決して暴言を吐くタイプではなかった。




と言うか、明るすぎて問題児…。



だったのに…っていうか、自分で言っといてだけど、暴言とは…⁉︎



「…っ」


女の子たちも肩を跳ね上がらせる。




「授業始めるぞ〜」



ちょうど先生が入ってきて、桜井くんが睨みながら座る。



何故睨んで…? 別に何もないけど…。



授業中もこそこそ聞こえてくる。


私の噂だと、すぐにわかるくらい。まあ、大半は意味がわからないけど…。


「本当無理、ちょっと大丈夫かなって思ったのに」



「だよね〜」



あっちこっちで私の噂が飛び交う。



…なんか、ここから逃げ出したい。



「…すみません」



「ん? 何だ? 桜井が口出すとか珍しいな」



先生が笑いながらも桜井くんを当てる。



ーガシッ


「え」



つい声が漏れた。



ガタッと立ち上がった桜井くんは、強引に私の手を引っ張って立ち上がらせる。