まさか天使が⁉︎
…握力お化け! やばい、この人になんかしたら真っ二つに殺される!
「…んで! 恋バナしよ〜っ」
にこにこしている天使にホッとする。よかった、いつもの天使だ…。
いつもの天使に戻ってしまえば、豹変しなきゃ殺される確率は低くなる。
「前はむさくるしい男子の見習いがいたからさ〜」
「むさ苦しい…? 男子…?」
男…子って言うんだろうか…二十代後半くらいの、あの天使見習い…。
「えっと…好きな人は…ちょっと問題児で…でも、なんか実は優しい」
「いや〜っ、聞いてるだけでかっこいい〜‼︎ まさかその子、普通の子には塩対応⁉︎」
「う、うん」
「きゃあああ〜‼︎」
…1人で勝手に盛り上がらないでほしい。
最初は頑張るつもりだったけど、もう今はこうなっちゃったから…。
ただ…恋バナすると興奮するって言うの、わかる、わかるよ!
…もう二度と、友達の話を聞いて興奮するって言うのは、ないけど…。
毎度毎度、寂しくなる。
私は、普通の子の様な生活は送れないんだ…。
それが、恋バナとか感情系になればなるほどそうなっていく。
私だけ、何でこんなに悲しい世界なんだろう。
「ねえっ、自意識過剰だよ実紀」
「え?」
じ、自意識過剰…?
急に飛んできたよくわからない発言に、一瞬思考が飛んで行く。
自意識過剰…って…な、何を言いたいのっ⁉︎
「だってさ、前も言ったつもりなんだけど。こう言う状況なのは…多少違うところもあるけど、他の人もいるんだよ。自分だけなんかじゃないよっ。自意識過剰〜っ」
うっ。
天使に普通にディスられて、流石に私にもぐさっとくるものがあった。
そ、そうだよねっ…。
わ、私、ちょっと自惚れすぎてた…恥ずかしいっ…。



