「そっか。じゃあ家族の私も全力で支える。お父さんとかのフォローもね」
「…おっけ。でもなんでそんな簡単に? 放っておかないの?」
「家族だから。私、苦しいなら支えたい」
天使は目を丸くする。
「天使なのに、思わないの?」
「思わない。だって家族なんていないし〜」
肩をすくめる天使。そうなんだ…。
天使はてっきり、大家族なのかと思ってた。
勝手な想像だったんだ…。
色々と教えてくれるし、天使とかについても知れるから、この夢もいいことばっかりだなっ…。
「…私、本当に選んだのがこれでいいのか、わからないんだ」
「え?」
ぱちぱちと、目の前の大きな瞳が瞬いた。
「どういうこと?」
「だって…感情なんて、意識しなくても出てくるじゃん。だから感情がどのくらい大事かなんて…まったく、わかってなかった」
あの頃の私は、本当にバカだったと思う。
感情を失った時は…何が何だかわからないけど…今は、全てを知っている。
夢の中でだけ自分らしくいられるなんて、何だか自嘲の笑みがこぼれる。
「…こんなに感情が大事なんて、知らなかった」
今ならわかる。
何を言っても真顔の私は、すごく不気味だっただろう。
怖っと、孤立するのも、わかる。
ただ…仲が良い方だと思っていた子からも避けられていて、ショックだった。
お弁当を食べ終え、教室へ戻った時に会った三つ編みの女の子が、それだった。
だいぶ、好きだな、って思っていた相手。



