宙に伸ばした手がスカッと空振りした。 彼女はだっと後ろに駆け出して行ってしまった。 「…」 …逃げられた。 行ってしまった。何か多分事情があったはずなのに。 教室に入ったけど、誰もこっちを見ない。 席に着くと、後ろから声が聞こえた。 「あはは…」 「笑える、あいつ」 「朝も遅刻しそうでさ。馬鹿だし、いい度胸」 小さな声だったけれど、地獄耳の私は聞こえてしまった。 …何? バッと振り向いた。 途端に声は止む。 …何よ…。