よし、居ない。 秋葉は、人がいるところでは言いにくそうにしていたから、人目があるところでは言いにくいだろうと踏んだのだ。 錆びついている屋上への扉をゆっくりと開いた。 ギイイッと、いかにも古そうな音を立てて、扉は抵抗なく開いた。 お弁当を持ち直して屋上に出る。 「秋葉」 「実紀!」 口角を上げて、近づいてくる秋葉。 「おべんと。食べよ」 背中に隠していたお弁当を私も前に出した。 「うん、食べよ」 屋上の床に正座して並ぶ。