どんな君でも、溺愛します。



秋葉の、命日。


49日後なんかじゃなくて、あの私が感情を失った、あの日。

私と倉くんは今、秋葉のお墓に来ている。

「秋葉…きたよ」

お花を供える。

秋葉は、私の家の近くにいた。

もちろん何度も来ていたけど、命日に来るのはこれが初めて。

あれから、一年。

私たちも、順調。

もう、孤立することもないよ。倉くんも、今は真面目。

屋上は、私はあれから行ってない。ずっと私の中学校の屋上は、大切なものがたくさん詰まっていて、色々置いて来た場所だから。

扉を開けたら、そこに入っているものが全て流れ出して、溢れ出して、全て消えてしまう気がした。

「秋葉…会えたね」

秋葉のお墓で会えるという言葉は、あっていた。

でも、永遠の別れだよ。もう会えない。

…私はここで何度も色々相談した。秋葉が、応えてくれた気がした。

秋葉の声は聞こえないけど、私の中でずっと一緒にいた秋葉が応えてくれた。


でも、やっぱりこうなってくると声が聞きたくなってしまう。

あの明るい声で、私を励ましてよ。

あの手で、心があそこから止まっている私の背中を押してよ。

もうしょうがないなって、苦笑いしながら頑張れって応援して。

でも、もうそれも難しい。秋葉だって、それはわかっていたんでしょう。

だから、何かずっとずっと心に残る49日間を、過ごして私に送ろうとしたんでしょう?

本当に、自分のことは何にも考えない。だから勉強も全然しなかったんでしょ?

でも、そこが秋葉のいいところでもある。

人優先で、私のこと優先で、自分のことは後回しで私を傷つけないようにって頑張る。


自分だって死ぬのに、結局私を悲しませないようにって、頑張って、頑張って…。


秋葉だって、忘れられる怖さは絶対あった。でも、結局私が立ち止まっていることをわかってるから、忘れていいなんて強がってた。


本当…優しすぎるよ。