どんな君でも、溺愛します。



** **


裏庭についた。

「…で、何?」

「わ、私っ…」

声が裏返った。


…っ、恥ずかしい…!


そしたら、近くの茂みからぐっと親指を立てる手が出てきた。


…もう、秋葉ったら…。

「倉くん」

「ん?」





「私、倉くんのことが好きっ…」





静かな裏庭に、私の告白が響き渡った。


「…、は?」


「ま、前から、好きで…、私…」


ああダメだ。言いたいことは固まっているのに、頭が回らない。言葉にできない。


「付き合ってほしいとかは、言わないからっ…私の想いだけ、知っててほしい…!」

倉くんが、一瞬固まった後、ハッと乾いた笑みをこぼした。

やっぱり、笑われるよね…。



ー振られる。


私は、そのことを恐れて、私が傷つかないように、必死にまくし立てた。


「いやっ…もちろん、倉くんが秋葉のこと好きなのもわかってる。まだ諦めれないのもわかってるから…」

どんどん、俯いて行ってしまう。


「は?」

「え?」

バッと顔をあげると、驚愕した表情の倉くん。

もしかして…なんで諦めれないのわかってんの? って言ってる?


「…俺」

ぎゅっと思いっきり目を瞑った。

聞きたい、聞きたくない、聞きたい、聞きたくないっ…!


聞きたい‼︎


「俺も、好きだけど?」



「へっ?」


ぽろっと聞こえた声に、思いっきり目を開ける。


幻聴…?


「好きだけど。実紀のこと」


「…ごめん、もう一回、言ってもらってもいい?」

欲張りな私は、もう一度その言葉が聞きたかった。


「好き」


「〜っ!」

う、そ。

「いつ、から…?」

「だいぶ前から」

「じゃあ、なん、で…秋葉と、付き合ったの…?」

あの時は、秋葉への嫉妬と、友達を裏切りたくない思いで狂いそうだった。

「秋葉のこと、脅したって聞いたけど…」

「ああ、あれは」

軽く告げられる。悪気もなく。

「実紀のこと、聞き出そうとしたんだけど、あまりにも朱羽が嫌そうだったから、実紀が嫉妬してくれるか試したいって」


「え⁉︎」

そのために、秋葉を利用したの…?


「えっ…」


「実紀」

私が何か言おうとした時、秋葉の声が響き渡った。


「秋葉…」

「…朱羽⁉︎」

秋葉は、見たことがないくらい悲しい瞳をしていた。


どうして…?


「秋葉…」


「実紀、おめでと。ねえ、実紀…」

秋葉…?


何だか、感じたことのないくらいの違和感。

あの、ショッピングモールの屋上で抱いたものよりも漠然とした違和感。

「ちょっと、来れる?」


「え…? いい、けど…」

「俺は?」

「別にどっちでも。決めんの私じゃないんで」

倉くんが口を挟んだ途端急に機嫌が悪くなる秋葉。嫉妬してくれてるんだろうな…素直に嬉しい。

どこに行くんだろう…。




「…⁉︎」