感情を失って、48日。
キリ悪っ…。
今日まで、カフェ、デパート、映画館…色々いろんなところに行った。
明日…倉くんに告白するって、言ってたっ…うっ、ドキドキするっ。心臓が壊れそう…!
「おはよ、実紀」
「お、おはよ秋葉」
登校してきた秋葉に駆け寄る。
「あ、秋葉…明日告白するって、本当にするの…⁉︎」
「もちろん! だって私、ずっと一ヶ月付き合ってもらったし、応援くらいさせてよ、親友なんだし」
…秋葉…。
「ありが、とう」
「うん! じゃあ今日は実紀ん家お邪魔させてもらうわ〜」
「えっ」
「泊まらせてっ。あ、今日用事ある?」
「ないよ。多分お母さん達、秋葉来たら喜びで飛び上がると思う」
こんな風に急に泊まりになることも、よくあるし…うちのお母さん、秋葉のこと大好きだから、来てくれるのは反対する人はいない。
お父さんも秋葉のお父さんと仲良いし、なんだかんだ言って許してくれること間違いなし!
「実紀…」
「え?」
秋葉は一瞬表情を崩した後、すぐ私を抱きしめてきた。
「明日、頑張って。私も頑張る…!」
「何を頑張るの…⁉︎」
秋葉は一瞬きょとんとした後、すぐにガッツポーズをした。
「実紀の応援…!」
「応援って、そんなに体力使う⁉︎」
「うーん…使う! 色々と!」
そんなに使うかな…? でも秋葉のことだし、そこはいいんじゃない…? って思ういらないところにも全力を注ぐから確かに秋葉は体力使いそうだな…。
「私…ちょっと頑張ってみる…!」
「何を?」
「……ひゃっ⁉︎ えっ⁉︎ えっ⁉︎」
急に聞こえた倉くんの声に、私も秋葉も飛び上がる。
う、噂をすれば影がさした…!
「おおっ、おはよううぅっ、倉くん⁉︎」
「…? 何? なんか隠してんの?」
にやにやしながら近づいてくる。
「来んな、馬鹿!」
秋葉が嫌そうな顔を隠そうともせずにバシッと倉くんを押し除ける。
「…ふん」
倉くんがわざとらしくため息をついて、私の隣にどさっと座った。
ど、どうしよう。隣だから、話してても聞こえちゃう…。
「実紀! いっこ〜」
「わっ」
秋葉に手を引かれて、強引に外へ連れ出される。
…最近の私、こんなのばっかだな…。
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連れて来られたのは、人が少ない方の階段の踊り場。
「よし! ここなら馬鹿もいないし、思う存分実紀を独り占めできるぞ〜!」
「ここなら話せそうだね」
「でしょ⁉︎ 私、天才!」
秋葉が自画自賛している横で、私は階段を見渡していた。
「ん? どうしたの実紀」
秋葉が訝しげに私に問いかけてくる。
「いや…私、ここに来るの久しぶりで…」
多分、入学してすぐ、学校を探検した時以来。
「本当? ここ、全然人来ないから伸び伸びできるんだよね!」
秋葉が、言葉の通り伸び伸びしているように見える。
「でさ、実紀。あの馬鹿野郎に告白するシナリオは、もう決まってるよね?」
「あっ…ううん、まだ…だって、秋葉が本当に実行するとはわかんなかったから…」
告白なんて、したことないから、「好きです」って言っておけば何とかなると思うし…。
それも伝えると、秋葉が俯いてぷるぷる震え始めた。
「あ、秋葉?」
泣いてる…?
「…あっっっまーい‼︎」
「ひゃあ⁉︎」
急に秋葉が叫んで顔を勢いよく上げたため、私の頭に直撃…しそうになったところで、私が危険を察知してすぐにのけぞった。
「好きですって言っといたら確かにいけるかもしれないけどさ、それだと本気が伝わらない! ただの告白! もうちょっと特別感を出さないと! だって、好きなんて実紀、私にいっぱい言ってるでしょ⁉︎」
「あ…確かに」
「うん! もっと特別感を出さないと、あの馬鹿には伝わらないよ!」
「わ…わかった!」
馬鹿じゃないけどね!
「よし、こうなったら、HRが始まるまで、私が実紀の告白のシナリオ作るの手伝ってあげる!」
「あ…秋葉〜!」
秋葉がいるなんて、心強いことはない…!
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