キミのために一生分の恋を歌う -first stage-

部屋着に着替え布団を運び終えた晴が戻ってきた。
髪も下ろして、メガネ姿でいつもの晴だ。
聴診器を持って、なんか疑うような怖い顔してるけど。

「小夏、いま何してた?」
「別に何も?」
「隠しても分かる。ニヤニヤしてなんか悪いことしてただろ」
「違うよ。ミニ晴をもう少し貰ってただけ」

私はポケットから写真を数枚取りだしてみせる。

「何だそれ。まぁそのくらいならいいけど」
「絶対お守りにする!」
「じゃあ僕も今度、小春さんに頼んでお姉さんの写真送ってもらおうかな」
「何言ってんの!! 恥ずかしいから絶対ダメ」

分かったから落ち着け、と言われて静かにする。
晴がいつもの診察をしている間、私は晴の部屋を見渡した。
本棚には医学系の本が多かったけど、ふと何冊か楽譜のようなものが目に入った。

「小夏、貧血気味だからかな。心雑音もする。喘息は現状維持ってところだ。帰ってからも初ライブまではしばらく安静。ウォーキングも禁止。体力つけることより必要最低限で体力温存していこう」
「分かった」
「本当に分かってる?」
「分かってるよ……」

聴診器を外せば、晴は医者じゃなくなる。
着ていた上着のボタンを、いつもなら止めてくれるのに今日の晴は外していく。
服は全部はがされ、ベッドの横に置かれた。
いつの間にか部屋の明かりが消される。

「今度は小夏の全部、見ていい?」
「恥ずかしいよ……」
「小夏のことを抱きしめながら今日は寝たいんだ」
「うん。でも晴もだよ?」
「分かった」

その夜はお互いの肌の温もりを確かめ合いながら、私たちは眠った。