キミのために一生分の恋を歌う -first stage-

「諏訪野さん〜! 聴いてくれた?」
「止める間もなく走り出してさすがの問題児でした」
「基本的には真面目なんだから! ていうか歌のこと!」
「まぁ、皆さんが幸せそうに聴いてたから良かった。僕もそのひとりかな」
「うん、良かった」
「でも問題児なのは変わりませんから。すぐ帰りますよ」
「ふむ余は満足した」

諏訪野さんは医局に向かって歩き出したので、大人しく後ろについて行った。行きと同様に案の定ものの数分で着替えて準備して出てきたので、ビックリしながら駐車場に行き、そのまま諏訪野さんの運転する車に乗った。

「小夏の家に着く頃には13時過ぎちゃうと思うけど、お昼ご飯どうする?」
「ンー……あんまし食欲無いんだよね」
「それは僕の点滴治療を受けたいなってことでいい?」
「さぁ食べますよー! 小春が作ってくれたものが家にあるから」
「そう。じゃあ僕はコンビニで買ってくかな」

途中のコンビニで車を停車させる。諏訪野さんに何か食べたいものある?と聞かれたからプリンと適当に答えた。
しばらくして買い物して帰ってきた。

「じゃあ行こうか。今日小春さんはお家にいるの?」
「夏期講習があるから早く帰ってきても16時は過ぎるかな」
「了解、じゃあもし会えたら挨拶するね」
「諏訪野さんなら猛獣使いだから大丈夫。安心して上がってね(笑)」
「わかったよ。お邪魔する」

私の家に着くと、相変わらず内装の豪華さに諏訪野さんはびっくりしてるみたい。
早速、バレーサービスの人に車を預けて家に上がってもらう。
うちは15階にある2LDKなので、そこまで狭くも広くもないと思っていたが、リビングに通すと広さに随分驚いたようだ。

「やっぱり売れてる歌手ってすごいとこに住んでるんだな」
「ふふ。bihukaが解散したらすぐ追い出されることになるかもだけど(笑)」
「大丈夫だよ。小夏が希望しなきゃそんな風にはならない。僕だってそれなりに真っ当に生きてきたから、小夏を支えられる蓄えくらいあるからね」
「ゆかさんにクソ真面目呼ばわりされてたもんね」
「クソはついてない、ていうか今それを言うか」

私がリビングのテーブルの上にお茶を出すと、お礼を言って諏訪野さんは座った。
お昼ご飯に買ったおにぎりを出して一緒に食べている。

「お礼にこちらどうぞ、小夏用のプリンです」
「わぁ! ありがとう」

私も冷蔵庫の中から、朝ご飯用に小春が作ってくれた小さなおにぎりをレンジで軽く温めてから持ってきて、諏訪野さんと一緒に食べることにした。