新月の天使

「〝僕たち〟ってことは、夢犀さんは〝青藍〟にとって大事な子ってこと?」


「そうだよ。青藍にとって、星那ちゃんは大切な存在……だけど───────」





和くんの目の奥がすぅっと黒く染まって、完全に上がりきっていた口角が少し下がり、まるで………全てが塗り潰されたみたい。




「〝僕にとっても〟大切な子、だよ?」




「………!」




か、和くん……!?


カッと頬に熱が集まる。



大切な子って何……?ま、まさか和くん、私のこと……?


って、そんなわけないない!友情って意味だよね……!


私ってば自惚れ過ぎだよ。恥ずかしい。


そもそも、私なんかを好きになるはずないよね。


秘密だらけだし、名前だって偽ってるんだから。




「……へぇ。そういうこと?まさか、この前、青藍の総長が夢犀さんに堂々と話しかけてたけど、そこからずっと関係が続いてるってことなんだ?」



「御名答ー!……あのときから僕たちはかたーいかたーい絆で結ばれてるから、邪魔しないで?」




「邪魔もなにも、夢犀さんと話してたのは僕で、原地くんが邪魔したんだよ」





バチバチと2人の間には火花が散っているのが見える。


2人とも冷静に見えるけど……中田くんは少し苛ついている気がする。


足も一定のリズムで床を叩いていて、いつもの完璧スマイルが歪みに歪んでる。



どうしたらいいんだろう……。


今まで人と関わってこなかったから、止め方がわからない。