新月の天使

ちょっとずつ、涙が引いてきた。


さらに呼吸も安定してきて、頬の涙をぬぐう。



「はぁ……、ふ、」




もう……大丈夫。


自分の心に、余裕ができた気がする。



「瀬那くん。大丈夫、何もなかったよ」



ニコッと笑いながら言う。


それから、曇ったメガネのレンズを拭いて、かけ直す。


もう一度笑ってみせると、まだ眉間にしわが寄ってるけど、少し表情が和らいだ。



すると突然、瀬那くんが私の腕をつかむ。




え………っ?な、何……?



そして、私の腕を自分の方に引き寄せたとき……。






「なになに、何この重い雰囲気っ!」






突然、驚いたような声が響きバッと後ろを振り返ると、そこには和くんが立っていた。


手には、コンビニの袋が下げられている。


コンビニからの帰りかな……?




「瀬那くん、一体なにがあったの?」




コテン、と効果音がつきそうなくらい可愛く首をかしげる和くん。


それを見て、瀬那くんがぱっと後ろを振り返った。


視線の先には、青藍の下っ端達。




……っ、まさか私が皆に泣かされたっていうつもり……!?




「和真、さっき────」









「なっ、なんでもないよ!!」







大きな声で、瀬那くんの声を遮った。



ああなったのは、私がいつまでも過去を引きずってるから。


ここにいる皆のせいじゃない。


それに、もう本当に平気だ。


最近はあんなことがなかったから、過剰に反応しただけ。