新月の天使


今思えば、どうしてあんなに感情が制御できなかったんだろうって思う。



不思議だと思うけれど、言ってしまったものは仕方ない。


まぁ、そのせいで青藍に行きづらくなったんだけど……。




「けどさ、十色……すげぇ機嫌いい。それってさ、やっぱり星那のおかげだと思う。試しに明日、来いよ。たぶん、大丈夫だと思うからさ」



「そう……かな」




どうしてこんなに……人のことで悩めるんだろう。


これは、演技のはずなのに。


こんなに、人のことで悩んだの……初めてかもしれない。



いや、人のことで悩むことはあったけど、今までとは違う悩み。



嫌われたかな、とか……そんな事を考えてる。


こんなこと、なかったのにな。





やっぱり私は、この生活を楽しんでる。


きっと、このままじゃもっとハマっちゃう。


さっさとキャップを取り返して、この街を出よう。





「ありがとう、瀬那くん。私、明日から倉庫に行くね」





立ち上がって、荷物を掴んだ。




「それじゃあ、私急ぐね。バイバイ!」





手を振って、歩き出したとき、瀬那くんに突然腕を掴まれた。





「星那、明日……待ってる」





優しく微笑みかけられる。


今まで見たことのないほど……かっこいい微笑み。


その姿に、ドキッと胸が高鳴った。


途端、顔が熱くなって、私はその熱を隠すように力強く頷いた。




「……うん!」






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