「芙結、?」



ふわっと優しい香りが鼻を掠めた。それは懐かしい大好きな香り。



俯く私の顔に手を伸ばされていた。



大好きな香りに昔の記憶が蘇って胸が締め付けられて苦しくなった。


「大丈夫か?お前ん家着いたけど、」


「、え」



いったい、どれだけ考え込んでいたんだ。家に着いたことにも気づかないなんて、



「どうした、ぼーっとして」


今、声出したら震えちゃう


応えられずいると顎を持ち上げられ、視線を強制的に上げさせられた。





「え、、、」


低い声が落とされた。


視界に映った顔は驚きと動揺を含んでいた。


私はそんなに酷い顔をしているんだろうか、


すーっと、頬を伝ったもので自分が泣いていることに気づいた。