神に選ばれなかった者達 前編

僕は子供の頃…確か8歳くらいの頃。

実の母親を殺した。

路地裏で拾ってきた鉄パイプで、母親を殴り殺したのだ。

…何故、僕の悪夢の中での武器が、鉄パイプなのか。

その理由は、多分これなんだろう。

現実で母親を殺してしまったから。

その時の記憶が、意識の中に強く残っていて。

だから、夢の中で、あの時の鉄パイプが具現化して…。

今でも僕は、悪夢の中で鉄パイプを持って戦っている。

皮肉な話だ。

僕にとってあの時のことは、ただの忌々しい記憶でしかない。

思い出したくもないのに…毎晩、この鉄パイプを握っていると、思い出す。

実の母親の顔を砕き、返り血を浴びた瞬間のことを。

…どうして殺したのか、って?

…話しても良いけど、別に楽しい話じゃないよ。

だって…母さんが悪いんだ。

母さんが…のぞみを、僕からのぞみを引き離そうとするから。





あの頃、のぞみはまだ3歳かそこらだった。

あの日の夜、僕はのぞみが力無く泣き出す声で目を覚ました。