一途な皇帝陛下の秘恋〜初心な踊り子を所望する〜

武道大会は突然に…

一大決心をした香蘭は、昨夜寧々と共に晴明が好物であろうあんこ餅を沢山作り、女中の着物を身につけて寧々と2人で宮廷にやって来た。

他にも女中は沢山いるから、これなら晴明様にも見つからないだろうと、ホッと息を吐いて会場に向かう。

聞けばこの武道大会は毎年、国中から腕に自信のある強者が予選を勝ち抜きやって来るらしい。その中で、晴明は皇帝になってから密かに参加し、2連勝しているという事だ。

そんな腕前を持っているなんて知らなかった香蘭は、数日前からソワソワと心が躍り、あまり眠れ無い日々を過ごしていた。

会場までの道のりは人混みでごった返していた。香蘭にとっては初めての経験で、寧々の後を見失わないように懸命に着いて行く。