小学校3年生から6年生までは聾(ろう)学校へと通っていた。
それまでは普通学校へと通っていたけれど、学校側から「行ってください」と追い出されたものだと思う。
そのときはお父さんがいたから、お母さんはもともと喜怒哀楽が激しい人ではあったけれど、今よりずっと母親をしていてくれていた。
けれどある日のこと、お父さんが帰って来なくなった。
そこからお母さんと今の団地に移り住んだのだ。
(─────おかあさん………?)
そしてまたある日のこと、今度はお母さんまでもがいなくなっていた。
朝から昼間にかけて大体いつも寝ているお母さんは、この時間にいないことは珍しい。
気づけば、また夜。
(おかーさん……)
探しに行かなくちゃ。
でも、どこへ行けばいいのか分からない。
スマートフォンも持っていない、自分のような人間では誰かに聞くこともできない。
そのときだった。



