「……………」
「…ふ、なに。そこ興味持つんだ」
《かどっこまいにち》という、可愛い文字。
つい夢中になって画面内を追いかけるわたしの背中、トントンとなだめるように手が回されたことにも気づかないほど。
「俺これ好きなんだよね。キャラみんなの設定がシュールでじわじわくる………って、そっか聞こえてないか」
「………ぁー…ぃ…」
「…ね。かわいーよね」
音が聞こえなくても分かるアニメだ。
たまに出てくる疑問やセリフが柔らかいフォントで字幕にもなっていた。
「……あなたは優しいのか冷酷なのか、検討もつきません」
「………え?ごめん聞こえなかった。なんか言った?」
「…いえ。…カシラ、そういえばジローを忘れました。たしか先ほど周囲を探しに───」
「だれそれ」
「……前言撤回いたします」
最初はただの、興味本位。
70%の暇つぶしで。
残る30%はきっと、同情。
それでもいいと、後日談として笑って言えるまではもう少し。



