雪平くん、いつもよりちょっと赤くない? 初夏。 それに、運動した後だから当然なのかもしれないけど。 「ちょっと失礼」 熱は⋯⋯っと。 コツン、と彼のおでこに自分のそれを当ててみる。 んー、やっぱりちょっと高いかも。 「念の為熱計ったほうがいいかも」 そう言って、体温計を取るため、彼の奥に置かれた救急箱に手を伸ばした時だった。 ──ふわっ。 鼻腔に広がる甘い香り。 ⋯⋯あれ、この匂い。 この前に嗅いだ時も思ったけど。 苺⋯⋯? 「ねぇ璃子ちゃん、それ天然?」 「へっ?」