男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました

「ですがご安心下さいませ! 私には今、侯爵様のあの一目惚れを超えるほど好きなお方がいますので」

 そう言って、マリーゴールドは両手を腰に当てて威張ってみせた。
 そんな態度もこの小さくて妖精のように可愛らしいマリーゴールドがすると、思わずキュンとしてしまう。

 ……って、キュンとしている場合ではない。

「えっと、それは一体誰なのですか……?」

 口から出まかせ? 私を安心させるためにそう言ってる?
 そんな疑問がポンポンと浮かび上がってくる中で、マリーゴールドは右手の薬指につけていた指輪にそっとキスをした。
 すると、指輪の中から煙幕が現れて思わず私は叫びそうになった。

「マリー様、大丈夫ですか⁉︎」

 一体何が起きたのか。慌ててマリーゴールドの手を掴もうと黙々と吹き上げる煙の中手を伸ばした。
 だけど私が掴んだのはマリーゴールドの細い手首ではなくーーちょっと、ゴツい?
 思わず警戒して煙の中で目を凝らすとーー。