男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました

 私はそう思って、思わず胸に手を当てた。

「リーチェ様は侯爵様との関係は契約だとおっしゃっていましたが、二人の間に流れる空気に私は気づかないほど鈍感ではないのです」

 そう言ってマリーゴールドは再び笑った。その笑顔を見て、私はさらに罪悪感で胸が押しつぶされそうになる。

「ですがリーチェ様からすると、自分の婚約者に好意を持つ令嬢など一緒にいたいと思いませんよね……?」
「そんなことはありません!」

 本当は嫌だけど。というか心配だから。
 いつかレオンは目を覚まして、やっぱりマリーゴールドに向かっていってしまうのではないかと思えてならない。
 マリーゴールドのあの恋する瞳に見つめられたら、レオンはきっと私との関係に後悔するのではないか。
 そんな不安がいつも私の周りを取り巻いている。
 ……だけどそれは、マリーゴールドが悪いわけではない。
 結果で言ってもマリーゴールドとレオンの運命を引き裂いた私が悪いのだから、と。
 心配になるのも罪悪感に駆られるのも、全ては私の責任で、私が背負わないければならない感情である。
 だからーー。