男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました

 マリーゴールドにはまだレオンと婚約する話をしていない。
 ……きっと噂ではすでに聞いているだろうけど、私の口からはまだキチンと伝えれていない。
 マリーゴールドにはちゃんと私から伝えようと思っていたのに……。

「あっ、あのマリー様。ちゃんとマリー様には伝えようと思っていたのですが……」
「リーチェ様は私が侯爵様をお慕いしていたことに、お気づきだったのでしょう?」
「あの、ですから……って、え?」

 まさかマリーゴールドからその話を振られるとは思っていなかっただけに、私は思わず呆気に取られてしまった。

「生まれて初めてでした。誰かを一目見た瞬間に恋をしてしまうなどということは」

 ……やっぱり。マリーゴールドはレオンの事が好きだったんだ。
 そう思うと胸の奥でドス黒いものが渦巻き始めて、呼吸が浅くなる。私が彼女の運命を引き裂いてしまったのだから。

「ですが、それと同時に私も気づいておりました。侯爵様はリーチェ様以外を見ていらっしゃらないことに」

 それは、どうなのだろう。
 あの時はレオンだってマリーゴールドに運命を感じていたのだから。