男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました

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 ーーあれから。

 私はレオンと正式に婚約を決め、婚約パーティの準備に取り掛かっている。もちろんその報告を父親であるマルコフにも伝えている。
 婚約したい旨は伝えていたけれど、実際に式を執り行うつもりも、その前に関係を白紙にするつもりだっただけに、式に関しては何の進展もしていなかった。
 それだけに事が進んでシリアスな関係に発展を遂げたのだと理解したマルコフの、あのガハガハ笑いときたら見ものだった。
 何より私とレオンの婚約を喜んだのはあの男なのだから、そりゃ笑いも止まらないだろう。むしろ自分の顎を外すほど笑い転げていた。

 いいや、転げていたのは笑いが止まらなかったせいではなく、顎が外れた痛みのせいだったとは思うけど。
 そんな姿を見て、私も思わず笑ってしまった。
 顎が外れて痛がる父親を見て笑うなどとてつもなく性格が悪いと自負しているが、マルコフの思惑通りに事が運んだのは私のおかげなのだから、そこはご愛嬌として今回だけは許して欲しいところだ。

 香水事業は上手くいっている。
 相変わらず共同事業主としてレオンと二人三脚ではあるけど、レオンは出資の面で関わってくるだけで、この事業に関しては私にほぼ丸投げだ。
 今では3店舗にまで事業拡大し、従業員や錬金術師も増えて大忙しだ。
 一般的に店頭販売している香水や精油と、個人の用法用途に合わせてブレンドする個人用販売とどちらも好評で、正直初めは逃走資金と未来の自分が不自由しない程度に稼げればいいと考えていたけれど、将来などどうなるのか分からないもの。
 だから稼げるのなら稼いでおくに越したことはないと考えている。