男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました

「クレイマス令嬢に感じた何かは、正直よく分かっていません。昔どこかで出会ったことがあるような、古い知人に出くわしたような。どこか懐かしいようでいて、けれどそれとは少し違う。けれどそれがどういう感情なのかと言われると表現し難いもので……」
「それが、運命の相手との出会いなのですよ」

 私はそっとレオンの背中を押すように、言葉を添えた。けれどレオンは相変わらずそれを否定する。

「いいえ、それとは違います」
「どうしてそう言えるのでしょうか?」
「それは分かります。なぜならリーチェを想う気持ちとは違うものだからです」
「違って当然です。私に向けて下さった気持ちは運命のそれとは違うのですから」

 相変わらずの平行線。会話が全く交錯しない。またこの状態を繰り返すのかと思い始めていた時だった。
 レオンは静かな声で、冷静を装いながらも静かな怒りをその瞳に宿しながら、こう言った。

「あなたはどうしてそうなのですか? どうして私のこの気持ちすら決めつけるのですか?」
「決めつけではありません。事実です」
「事実ではないと、本人である私が言っているのです。例えリーチェが未来を見えるとしても。もしもあなたがこの世界の神だ言うのならーーそれでもこの感情は私だけのもので、私にしか理解出来ません。出来る訳がない」

 語尾を荒げて立ち上がったレオンに、今度は私が見上げる形となった。