男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました

 私の気持ちを伝えればレオンは私に気を遣って、きっと苦しむことになる。本音と嘘ーーマリーゴールドと私への気持ちの狭間で苦悩すると、あたかもレオンを思いやるような良い子ちゃんを演じて。

 もちろんその考えも嘘じゃなかったけど、結局私は、私が一番大事だったってだけだ。

 傷つく勇気がなかっただけ。
 無駄に傷つきたくないって思ってただけ。

 今なら少し分かるかも……どうしてリーチェがキールを想って自殺するのかが。
 リーチェの自殺は私が作り出した設定だったけど、どうして人は恋をして、にっちもさっちもいかない状況になると心中を試みたり自殺をしたりするのかが、ちょっと分かった気がした。

「私は、レオン様が好きでした」

 ずっと言うのを躊躇って頑なに胸の中に留めていたこの言葉は、きっと吐き出すのにすごく苦労するだろうなって思ってた。
 だけどいざ言ってみると息をつくよりも簡単に、言葉は口をついて出ていった。