男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました

「他のご令嬢や今まで出会った誰とも違う感覚や気持ちを、彼女に感じませんでしたか?」

 運命の相手なんて、モブ令嬢の私にはいない。
 前世でも恋愛なんて二次元の世界でしか体験してない私に、恋に落ちるなんて感覚はきっと分からない。
 レオンは私の推しで私の好みを集約した相手だし、今はそれ以上に彼が好きだ。けれどそれでも、私はレオンに恋に落ちたわけじゃない。私はレオンやマリーゴールドが感じたような感覚を知らない。
 逆をかえせば、この世界を創造した私でさえ知らないものを彼らは知っていることになる。

「……っ」

 レオンは一度口を開いた……けれどそこから発せられる言葉はなく、出てきたのは吐息だけ。そのままもう一度口を閉じてしまった。
 なら、私が彼の代わりに答えを導き出してあげよう。

「私と出会った時に感じなかったものを、彼女には感じたのでしょう?」

 口を固く結んでいたレオンだが、観念したように肩を落とした。

「……ええ。不思議なことに、彼女には何か不思議なものを感じました」