男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました

「例えあの媚薬香水が強制的な力を持たないものだと理解していても。それが小さな変化だとしても、私はそのままのあなたの気持ちが知りたかったから」

 ひたすら懇願するように、レオンが言い続ける私の気持ち。
 言ってしまえば楽になるのだろうか?
 それとも言えば、むしろ彼を縛ってしまうと、さらなる罪悪感に縛られてしまうのではないだろうか?
 そこまで思考を巡らせたところで、私は再びレオンに視線を向ける。
 彼の深海のような真っ直ぐな瞳は今、私だけを見つめ、私だけを映し出している。

 そこに映り込んだ自分の姿を見てーーああ、そっか。
 そうだったのか。
 なんて、改めて自分を顧みることができた気がした。

「最後に一つだけ、教えてください」

 そうこれが最後、本当に最後の質問だ。

「コーデリア公爵様のパーティでレオン様がマリー様を初めて見た時、何を思われたのですか?」

 目を逸らしてはいけないと、本能で悟った。
 私はレオンを真っ直ぐ見据えたまま、硬く閉ざそうと反発する意思に打ち勝ちながら、さらに口を開いた。