男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました

「リーチェ、私が香水をつけていたのは、あなたを落としたいと考えていたからです」

 レオンの言葉が、再び戻った。けれど私の言いたい気持ちは収まらない。

「だからそれは……」

 私が口を開いたと同時に、それをレオンは手で静止する。私は思わず口をつぐんでしまった。

「四日前のあの日、私は香水をつけていました。ですがつけていたのは、ハンカチにです」

 そう言って、胸元のポケットから一枚のハンカチを取り出した。それは私が以前お世話になったハンカチでもある。

「リーチェはよく鼻血を出すので、そこに香りを忍ばせておりました。ハンカチならばあなた以外に使うことはありませんので」

 いや、あるのでは? そう思ったと同時に、レオンならやっぱりないのかも? と自分が出した疑問に即時回答する。
 女性と関わることを好まないし(マリーゴールドはヒロインだから別として)、そもそも同性からも堅物で通ってる侯爵だしあまり交流はしない気がするし。

「ポケットに入れているので、多少の香りはジャケットに移っているかもしれませんが問題はないでしょう」

 私はそもそも女性とは関わる習性がないので、と言葉を付け加えた。