男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました

 私が本当は、レオンの事が好きなのだとしたら、申し訳ないと思うから?
 粘着なクズ男に執着されて、殺されかけ、さらに父親の出世道具になるような立ち位置にいる私が、可哀想に思えるから?
 そんな不憫な私に対し、せめて一つくらい私の願いを叶えてあげようと思って?
 自分の気持ちを押し殺してまで、私の気持ちに付き合おうって思って?

 色々な憶測が頭の中で渦巻く。けれど、どの答えも私は到底納得できない。
 そもそも、それってさ……。

「あなたの目には、私はそんなに可哀想な人間に見えたのですか?」

 思わず吐き出した言葉に、部屋を出ようとしていたレオンの動作が止まった。

「もしくは私は、惨めな人間にでも見えているのでしょうか?」

 レオンはゆっくりと振り返る。そして何も映らないかのように見えた生気のない瞳が、ゆっくりと私に向けられる。
 目が合った瞬間、彼は驚いたように目を見開き、一度開いた扉をそっと閉めた。