ーー違う。
そんな言葉が思わず私の口をついて出てきそうになり、今にも溢れ出しそうな涙と共に、必死になってそれを押さえ込んだ。
そんな中で、レオンは再び口を開いた。
「リーチェ・ロセ・トリニダード男爵令嬢」
久しぶりに聞く、自分の名前。
レオンがいつも呼ぶ、親しみを込めた言い方ではなく、出会ったばかりの頃のような呼び方。
「今まで俺の勘違いに付き合わせて、すまなかった」
レオンから敬語の言葉が消えた。
それは、私との関係の消滅と同意だった。
その言葉を聞いた瞬間、下がっていた顔を上げ、入口の扉に目を向けた。
ドアノブに手をかけたレオンは、振り返る事もなく、扉を押し開けようとしている最中。
そんな背中を見ていると、膨らんだ瞳からポロリと、一雫の涙が頬を伝って落ちていった。
レオンは、役者だ。彼の役柄は、私に惚れている侯爵という設定。その設定に従順なまでに演じきっている、腕の良い役者。
完璧な男主人公は、演技までも完璧だ。さすがは私の推しであるキャラ。私の心血を注いだ主人公。
そうやって彼は、私の本心を引き出そうとしている。
けれど私の本心をそんなに必死になって引き出して、一体何のメリットがあるというのだろう。
そんなものは、自分で自分の首を絞めるようなものじゃないか。
そんな事をしている暇があるのなら、さっさとマリーゴールドと一緒になればいいのに。
私のことなんて蚊に噛まれた出来事だと思って、次に進めばいいのに。
そんな言葉が思わず私の口をついて出てきそうになり、今にも溢れ出しそうな涙と共に、必死になってそれを押さえ込んだ。
そんな中で、レオンは再び口を開いた。
「リーチェ・ロセ・トリニダード男爵令嬢」
久しぶりに聞く、自分の名前。
レオンがいつも呼ぶ、親しみを込めた言い方ではなく、出会ったばかりの頃のような呼び方。
「今まで俺の勘違いに付き合わせて、すまなかった」
レオンから敬語の言葉が消えた。
それは、私との関係の消滅と同意だった。
その言葉を聞いた瞬間、下がっていた顔を上げ、入口の扉に目を向けた。
ドアノブに手をかけたレオンは、振り返る事もなく、扉を押し開けようとしている最中。
そんな背中を見ていると、膨らんだ瞳からポロリと、一雫の涙が頬を伝って落ちていった。
レオンは、役者だ。彼の役柄は、私に惚れている侯爵という設定。その設定に従順なまでに演じきっている、腕の良い役者。
完璧な男主人公は、演技までも完璧だ。さすがは私の推しであるキャラ。私の心血を注いだ主人公。
そうやって彼は、私の本心を引き出そうとしている。
けれど私の本心をそんなに必死になって引き出して、一体何のメリットがあるというのだろう。
そんなものは、自分で自分の首を絞めるようなものじゃないか。
そんな事をしている暇があるのなら、さっさとマリーゴールドと一緒になればいいのに。
私のことなんて蚊に噛まれた出来事だと思って、次に進めばいいのに。



