男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました

「どうしても私には腑に落ちなかった。賭けをした時もあなたは、六ヶ月後も私の気持ちが変わらなければ、私の告白を《《受け入れる》》と言いました」

 レオンはゆっくりと私から距離を取る。視線は相変わらず絡み合わない。あれほど視線を避けたかった時は上手くいかなかったのに、今はこんなにも簡単だ。

「本心ではあなたも私の事が気になっていると思っていたので、初めその言葉を聞いた時は、あなたも私を愛しているのだと思っていたのです。ですが、それは私の早合点のような気がしてならなかった」

 一歩ずつ部屋の扉へと向かうレオンの背中を見つめ、私はただじっと押し黙り、レオンの話に耳を傾けていた。
 視界がゆっくりと歪み始め、私はあてもなく視線をベッドカバーへと向けながら、それを必死になって引きとどめた。

「……あの時の胸の引っ掛かった感覚は、正しかった。だってそうでしょう、リーチェ? 私が勘違いし、そうだと思い込もうとしていただけで、あなたは私を好きではなかった。ただ、賭けに私が勝ったなら、あなたは私を受け入れようと思っただけで、別に私と同じ想いを持っているわけではなかったのでしょう?」

 レオンが「はっ」と、吐き捨てるように笑った声が聞こえた。その放った声が残忍なほどに冷たくて、思わず私の肩がピクリと揺れる。

「それでは私は、コーデリア公爵となんら変わらなかったという事だ」