男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました

「実際に事は起こりましたよね? 侯爵様のお陰で未遂に終わったようですが」

 チラリとレオンに視線を向けると、レオンはまだ不審感を表した顔をしている。
 それもそうだ。未遂だったとはいえ、ことは既に済んだ後。後で起きた事を予想してました、なんて言うのは誰だって言える。
 ペテン師だってさすがにそんな手は使わないだろう。

 だけど、レオンとマリーゴールドの事は?
 その事はまだ公にはなっていない。
 レオンからもマリーゴールドからも、お互いにどう思っているのか、二人の気持ちは聞いていない。
 それを言い当てるのは、筋が通るのではないだろうか。

「それと同じことです。マリー様と侯爵様がお互いに一目惚れをし、お互いを求め合い、愛が芽生え、育ち、求愛し、やがて二人は結婚するでしょう」
「……そんな未来が、あなたには視えたと?」

 私はゆっくりと縦に首を振った。そんな私の小さな動作を見ていたレオン。彼の揺るがない青い瞳が、小さく震えた。
 そんな小さな動揺を、私は見逃さない。
 そしてそれを見た瞬間私は、この無限と続くループのような会話の終焉だと思った。